「自分を変えたい、成長したい」という方や「色々と挑戦してみたけど、どうも上手くいかない」と感じている方に、おすすめの書籍「失敗の科学」を紹介します。
みなさんは『失敗』という言葉に悪いイメージを持っていませんか?
私は失敗をすると、「こんなこともできないなんて、自分は能力が低い」とか、周りの人から「あいつは仕事ができない」って思われるんじゃないか、と考えていました。
本書は、この「失敗は悪いこと、恥ずかしいこと」という考え方を根本から覆して、失敗から学ぶ方法を教えてくれます。
書籍『失敗の科学』について
本書のメインテーマは「失敗から学び、進歩する」です。そのために必要な、「考え方とシステム」について、失敗から学び、進歩に成功した組織の事例をもとに、紹介されています。
本記事では、この本を読んで私が参考にした「失敗に対する考え方」の部分を中心に解説します。より具体的に知りたい、失敗から学ぶシステムを組織改善に生かしたいという方は、書籍でより詳しい内容を学ぶことをおすすめします。
失敗とは何なのか
そもそも、失敗とは何なのでしょうか。本書では失敗をデータの山と捉えています。つまり、失敗から学ぶというのは、データを分析して得た情報から仮説を立てるという、科学の考え方そのものなのです。
このように失敗から学び、自分を変えられる人・成長できる人になるには「失敗を受け止める姿勢」が大切になります。
失敗が恐ろしいワケ
多くの人が失敗を「悪いもの、恥ずかしいもの」と考えるのには『自尊心』と『懲罰文化』が関係しています。
『自尊心』は自分の存在に価値があるとして肯定したいという感情です。失敗をおそれる人は、「失敗=才能(価値)がない証拠」と考えるため、失敗により自尊心が脅かされます。また、ここでいう『懲罰文化』とは、「失敗=悪」ととらえて犯人に罰を与えようとする感情です。この感情を多くの人が持っているため、犯人捜しや目立つ行動をする人が不当に非難されるということが起こり、ミスの隠蔽につながります。
これらの感情に支配されると、人は失敗をしたときにその事実から無意識的に目をそらします。恐ろしいことに、問題の規模が大きいほど、また責任感の強い人や責任のある立場の人ほど、自分の失敗に気づけなくなります。
自分を成長させるための考え方
失敗を過度に恐れる人は、自分の無能を晒すくらいなら挑戦をしない、という選択をします。失敗から学びを得るには、この失敗のとらえ方を変える必要があります。
- 『能力は伸ばすことができるものだ』と考えましょう。失敗を「自分の力を伸ばすうえで欠かせないもの」として受け入れることができます。やり抜くことも、「自分にはまだこの課題を解決するスキルが足りない」と合理的にあきらめて他のことに挑戦することも、どちらも成長です。
- 『失敗から得られるのはデータ』と考えましょう。大きな間違いほど、より大きな進歩につながります。間違いを指摘されることを歓迎しましょう。自分を他人と比べるのではなく、過去の自分と比べるようにしましょう。
- 『単純に考える』のはやめましょう。失敗の要因は複雑です。犯人捜しでは解決はできません。後付けの仮説やシンプルでもっともらしい説を疑い、本当に正しいかどうか試してみましょう。
- 『考え抜けば最適解が見つけられる』という誤解を解きましょう。まず行動を起こし、根気強く失敗をくり返し、試行錯誤で答えを探しましょう。
今より自分を成長させたいのならば、「まずたくさん失敗する」を目標にすることがおすすめです。失敗することで自体が「よい結果」になりますし、「挑戦→失敗→学習→進歩→新たな挑戦」という成長のループをできるだけ早く、たくさん回すことで、より早く成長できます。
同じ失敗を繰り返してしまう
失敗は2種類に分けられます。「同じ失敗を繰り返してしまう」こと、あるいは「未知のことに挑戦して失敗する」ことです。失敗を繰り返してしまう場合は、失敗が起こりやすいシステムができてしまっていると考えられます。
私も以前は「自分の能力が低いから同じことをくり返すんだ」と自分を卑下していました。しかし、実際はそうではなく、悪い習慣(システム)に原因があったことがわかりました。こういった失敗から抜け出すには、失敗の要因と考えられるものを一つ一つ洗い出して、試行錯誤すればよいのです。しかし、これには失敗を素直に受け入れる気持ちと、根気強さが必要です。
こういった「よくある失敗」については、ほとんどの場合、先人が同じような失敗をしています。すべて自分で考えなくても、読書や人からアイデアを得て自分で実際に試すことで、自分に合った方法を見つけることもできます。
自分にとって未知のことに挑戦しよう
進歩・成長に不可欠なのは「答えがわからない失敗」です。この失敗は時に、成功に見えたものが失敗だったり、その逆もあります。何か新しいことに挑戦したら、その結果からフィードバックを得ることができるかどうかが成長のカギになります。
- 自分が間違った方向に進んでいることを知る方法はありますか?
- 自分の判断の是非を客観的なデータで確認する機会はありますか?
この質問を自分自身に問いかけてみてください。
客観的な意見を得る機会はなかなか無いものです。間違いを教えてくれる人が身近にいるならば大切にしたいですね。自分にはフィードバックを得る方法がないという方には、私もやっている日記をつけることをおすすめします。
そもそも行動できない人へ
最後に、私はこの本を読んで、考え方を変えるってそんなに簡単じゃないと思いました。行動を続けることが1番難しいと思います。
今、私たちが「当たり前にできること」も、むかし失敗から学んだ結果「できるようになったこと」のはずです。私の場合は、そのことを自覚するところから始めて、意識的に失敗から学んで成長できたとき、初めて「考え方が少し変わった」と思いました。また、行動する目的をはっきりさせることも大切です。どう変わりたいかわからないという方には価値観マップをつくることがおすすめです。
私もそうなのですが、今まで失敗は良くないものと考えてきた人にとって、意識は簡単には変わりません。自分を励ましながら、成長していることを実感することで「自分を成長させるための考え方」を少しづつ身につけていけたらいいですね。
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