勉強って何だろう?『勉強の哲学~来たるべきバカのために~』を読んで

スキルアップ

こんにちは、みぎひとです。みなさん勉強はしてますか? 

「勉強」というと学生時代を思い出します。でも勉強は一生続けるものってよく聞きますよね。社会人になっても勉強をしている人ってどのくらいいるのでしょうか。

令和3年社会生活基本調査結果(総務書統計局)によると、社会人の1日の平均勉強時間は6分、その実状は9割以上の人が全く勉強をしていないという結果でした。勉強している社会人は少数派なんですね。しかも、その少数の人は毎日2時間以上勉強していることになります。どんどん差が広がりそうです。なんだか勉強した方がいい気がしてきました。

こんなこと言われなくても勉強した方が良いのはわかってるんです。でも、『何を勉強すれば良いのかわからない』『そもそも勉強の目的って何?やりたい事なんてない』『勉強したって結果が出るかもわからないのに頑張れない』

やらない理由をならべて行動しないのが、私たち多数派です。

そんな私たちに勉強とは何かを教えてくれる、勉強の第一歩を踏み出させてくれる本を見つけました。

 

現代は勉強のユートピア!

スマホやSNSを使ってどこでもどんな情報でもすぐに手に入れることができる現代は、まさしく勉強のユートピアです。この環境をうまく活用するために必要なのは、勉強を有限化するという考え方です。

深く勉強することは、ノリが悪くなること

ノリが良いとは、今いる環境(制約)に適応している状態です。本書では、「環境」=「自分と自分以外のすべてとの関係性」という意味で使っています。

大人になって『昔のようなバカができなくなった』と感じたことはありませんか?。これは、昔は「無意識でやっていた行動」について、昔とは別の視点(環境)から考えられるようになった結果起こることです。

勉強はわざとこの状態をつくります。無意識に今の環境に適応していた「ノリの良い自分」をいったん破壊する自己破壊を起こします。

しかし、その先に「来たるべきバカ」=これまでとは違うノリの自分に変化する可能性があります。勉強の目的は、さまざまなノリを獲得して自由になることなんです。

アイロニーとユーモア

勉強には、深さと広さがあります。本書では深く勉強することを「アイロニー」、広く勉強することを「ユーモア」と呼んでいます。

「アイロニー」とは批判的に物事を考えること、物事の根本を深く追い求めていく姿勢です。勉強の基本はこのアイロニーの考え方ですが、アイロニーを突き詰めすぎると、ありもしない「真理」を追い求める無意味な旅をすることになります。

そこで、ユーモアの方向に勉強を広げます。「ユーモア」とは見方を変えることです。

物事を別の視点(環境)から眺めることで、意味を広げることができます。しかし、こちらもやりすぎると、意味が増えすぎて意味不明になるということが起こります。

そこで、目指すべきは有限化。その方法は「自分だけのこだわり」を持つことです。

自分だけのこだわりを持つ

「自分だけのこだわり」とは、自分は何となくこれが好き・これが楽しい、というこだわりのことです。このこだわりは、これまで自分にインパクトを与えた経験によってつくられています。

勉強することで、こだわりも変化していきます。

勉強することは「衝撃的な出会いの可能性を得ること」であり、自ら新しい自分に変化するための行動なんです。

勉強は知識やスキルを得るためのものじゃない

私は勉強は新しい知識やスキルを得るためのものと考えていたので、役に立つ勉強をしたい、意味のない勉強はしたくないと思っていました。しかし、勉強は今の自分を破壊し、新しい自分につくり変えるものだったんですね。

だからこそ、何を勉強するかをしっかりと考えたい。自分にとって好きなこと、興味があるものにこだわって勉強したいと思いました。

何を勉強するか

本書では、「欲望年表」という自己分析方法を紹介しています。「自分が何を欲してきたかを年表にまとめる」という方法です。

作り方を簡単に紹介します。

  • メイン年表をつくる:今の自分につながる重要な事柄をまとめる
  • サブ年表をつくる今とのつながりはよくわからないが、妙に思い出されるこだわっていたことや印象深い事をまとめる
  • 2つの年表のに出てきた言葉を接続するキーワードを無理やりでもよいので考える

ここで出てきたキーワードが人生のコンセプトになるそうです。

(参考)みぎひとの欲望年表

では、私みぎひとの欲望年表を一部お見せします。興味があれば見てみてください。

年代メインの欲望年表サブの欲望年表
1992年5人兄弟の長男として生まれる家庭がにぎやかだった。
小学生算数と理科が得意祖母の家が農家、みかん狩りや茶摘みをして育つ。
国語や社会は苦手ではないが興味薄ハムスターなどを飼っていたが死なせてしまう。
中学生勉強は全体的に得意だった。英語が嫌いだった
人の気持ちが理解できないことに悩んでいた。コミュニケーションが苦手化学と数学が好きで、得意なことばかり勉強していた。
太っていることがコンプレックスで運動が苦手音楽を聴くことが好きになった
高校生彼女ができて、優先順位が勉強<彼女だった。物理の先生とそりが合わず、物理が嫌いになった
大学水産学部で、海や魚に触れる機会が多かった外国語系の授業がすべて嫌いだった
いろいろなバイトを掛け持ちした概論系の授業が一番楽しかった
教授に影響を受け、微生物系の研究室に入った音楽フェスに行くことやカラオケが好きだった
社会人苦手だった人前で話をする仕事に就いたことで、苦手を克服一人暮らしを始め、1人での出張も多く、1人の楽しみ方を覚えた
テニスや筋トレを始めて痩せた。運動への苦手意識がなくなった。人の多いところよりも、静かでゆったりできるところが好きになる。
現在、微生物や食品衛生の知識を生かして働いている登山やダイビングにハマっている。

 

私にとっては好きなことより嫌いなことの方が印象に残っていることが作ってみてわかりました。

子供の頃から運動やコミュニケーションにコンプレックスがあったのですが、それが嫌で克服できるよう努力してきました。逆に、好きだった化学や数学はあまり今の自分に役立っていない気がします。

化学や数学が好きだったのは明確な答えがあるからだと思います。頭の中で考えることが好きで、考えても正解のわからない言語や人の気持ちが理解できなかったのですが、いろいろと人生経験を積んだからか、最近やっと興味が湧いてきました。今は人間心理や社会学などに興味があります。

そう考えると、私はできない・わからないことがあるのが嫌なんだと思います。そして、勉強を深めるのはほどほどで満足できる。

得意を伸ばした方が良いとよく言うけれど、今の私はできないことができるようになる喜びを求めたい。嫌いから生まれる好きもあると思います。なので、大雑把でも幅広くいろいろなことを知る勉強が合っているのかなと思いました。苦手意識があってまだ克服できていない外国語や物理などを学ぶのもよさそうです。

逆に一つのことを深く学んだ経験ってあまり思いつかないので、その喜びを知ったら追求したくなるかもしれないですね。

また、人生のターニングポイントでは良くも悪くも人からの影響を受けていることがわかりました。人と話して新たな興味を得ることも意識していきたいです。

みぎひとの感想:勉強を楽しもうと思わせてくれる良書!

一生勉強という言葉をよく聞きます。意味はわかっているつもりでしたが、本書を読んで勉強という言葉の解像度が1段上がったように思います。

本書は哲学と銘打っているだけあって、言葉の定義や話の論理的な組み立てがしっかりしています。私にはなじみのない考え方でしたが、説明がわかりやすかったです。勉強初心者向けに良い本だと思います。本書では、さらに実践的な勉強のやり方を紹介しているので気になった方はぜひ読んでみてください。

新しいものとの出会いは居心地の悪いものであり、それに順応しようとすることで、今までとは違う新しい自分に変化していく。「この居心地の悪さを変化の兆しと捉えて楽しもう」そう思わせてくれる良書でした。

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